Matonというメーカーについて
まだまだ日本では知名度が低いMaton。「メイトン」と読みます。オーストラリアで1946年に創業されたメーカーです。意外と歴史ありますね。
このメーカーを日本の方で知っている方は相当のアコギフリークスか、Tommy Emmanuelや秦基博のファンだと勝手に思っています(笑) 特にTommy Emmanuelはこのメーカーを世界的に知らしめた人と言えるでしょう。名実ともにアコギの神様、と呼ばれる人で、僕も大ファンです。シグネチャーモデルも出ています。
秦基博は最近Gibsonと併用し始めています。これも同じくシグネチャーモデル。
今でもほとんどのアーティストがMartinかGibsonをライブで使っていますが、近年はTaylorと一緒に伸びてきた感じがあります。実際すごい良いギターです。
スペックなど
さて、今回私が入手したのはこの二人のシグネチャーモデルの基になったebg808 artistというギターです。
トップがAAAグレードのシトカスプルース単板(下位モデルは通常グレードになります)、サイドバックがオーストラリアンブラックウッド単板、ネックがクイーンズランドメイプル、指板とブリッジはローズウッド(生産時期によって変わります、現在のモデルはエボニーが多いです)。
いくつか聞き慣れない木材がありますが全てオーストラリア特有の木です。ブラックウッドはコアの見た目に似ていて、割と中低域が出る暖かい音です。クイーンズランドメイプルはマホガニー寄りで見た目も音もすっきり。それぞれに個性があって所有欲満たされます。Tommyモデルはサイドバックもクイーンズランドメイプル、秦基博モデルはネックがブラックウッド、といった違いがあります。
そしてMatonの売りとされるのがピックアップ。現在はバージョンアップされたAP5というモデルが載っています。私はAPmicという一個前のバージョンが載ったモデルを手に入れました。EQの効く範囲などに違いがありますが、構造の共通点としてはピエゾとコンデンサマイクのデュアル構造ということがあります。
実際に弾いてみた
さて、ここから実際に使ってみた感想。音はネットで調べると「生音はそんなに、、、」「針金のような音」と書かれてます。確かにMartin的なリッチな音とはほど遠いですね。どっち寄りか、といわれればGibsonのガリッと乾いた音に近いです。ただ悪い音か?といわれると反論したくなります。
私の入手したArtistモデルはかなり強く出る暖かめのミドルとシャキッとした高音の成分が混ざった素朴な音、という感じです。ボディサイズが000と00の中間で、厚さを増し、ヘッド角度を緩くすることで弦のテンションを下げている構造がかなり影響しているかなと思います。Gibsonのlgとかbモデルに近いんでしょうか、、、うーん、やはりこれはMatonの音、という他無さそうです。モデルは違いますがTommyや秦基博の音とほとんど同じような音を想像してください。体感してもそんな感じです。こんな感じなのでMartinの音が好き!という人には最悪の音かもしれません(笑)
フィンガースタイルでは各弦の分離が非常に良いので、メロディーが際立ちますね。ソロギタープレイヤーの間で売れているのも納得です。
弾き心地は個人的には最高。しかしかなーり独特ですね。日本においては弾きやすいアコギ、というとネックが薄くて細くて、、、というのが定番に感じますが、こいつはネックが極太。昔のYamahaより太い。しっかりかまぼこシェイプ。なんですが非常に握った手に密着してくれる感じで良いんですこれが。そして独特のテンションの緩さも相まってとにかく弦が抑えやすい。ここら辺もアメリカのメーカーとは全然違いますね。僕は大好きです。
さて、ピックアップにいきましょう。これ目当てでMatonを買う人もいるらしいですが、理由がわかりました。とってもナチュラル。ピエゾ臭さは皆無です。手元でEQ、マイクとピエゾのバランスを操作できるので、ハウらないぐらいまでマイク音量を上げ、ピエゾを加えて芯を足してあげる、といった感じで良い音が簡単に作れます。とにかくこれは良いぞ。
結論相当気に入ってます。素晴らしいギターなので是非お試しあれ。Tommyモデルの弦なんかも使えば気分はノリノリ。では!